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病院選び

2015年の12月2日に父から母の病状についてメールが届きました。
それから、夜な夜なネットサーフィンする日々。睡眠不足でふらふらでした。

病院にも得意分野と不得意分野がある

 

夜な夜なネットサーフィンをして何を探していたのか?

私は2009年に癌を患いました。舌癌です。当時年間3000人。罹患率は10万人に2人程度。癌全体の2%といわれる癌でした。

病院は選びのポイントは「治療実績」と言われています。

罹患率の低い病気は実績のある病院を探すのが一苦労。今は治療実績を公開している病院も多く、病名ごとに病院の治療実績ランキングなどもネットで調べられるので便利です。

比較的症例数の多い病気の場合、近所の総合病院であればある程度の実績はあることでしょう。ただ、比較的珍しい病気になってしまった場合、どの病院が良いのか。診断が確定してから病院を調べていてはかなり時間のロスが発生してしまいます。その間にも病状は日に日に悪化してしまいます。

 

症状からある程度、病気の候補を絞りたい

母の症状は、寝返りができないくらいの背中の痛み。でもこれは毎日ではなく、強烈な痛みは一時的だったようです。その後は何となく違和感がある程度だった様子。

そして、みぞおちの上辺り、胸の間に丸もちのような膨らみがあり、それが日に日に大きくなっていたようです。これが大学病院に紹介状を書いてもらうに至った一番の要因です。

「みぞおち 違和感」で検索すると、実際に診断された逆流性食道炎や胃炎、胃潰瘍、胃癌、急性膵炎をあげているサイトがありました。急性膵炎はみぞおちと同時に背中が痛くなるのが特徴のようですが、胸と胸の間の膨らみの説明がつきません。

自覚症状がこんなにない病気って何だろう? すい臓がん?

膵臓がんの初期症状

膵臓がんの初期症状は、

  • 胃腸の不快感
  • 食欲の低下
  • 胃やみぞおち周辺の違和感
  • 消化不良
  • 黄疸

ただ、寝返りのできないような背中の痛みがあってから、半年。もし仮に膵臓がんだとしてら、今もなお胸と胸の間の膨らみが主だった症状という訳はないだろう。

因みに、50代以上の人で、胃やみぞおち周辺の違和感が長引いている場合は、念のために検査を受けたほうが安心とのことです。

胸腺由来?

結果的に母は胸腺由来の「悪性リンパ種」でした。

胸と胸の間。胸腺という言葉とその存在を初めて知りました。

胸腺ではT細胞(獲得免疫の中心的司令塔で、マクロファージやB細胞、キラ-T細胞などの免疫実働部隊に活動命令を出すことができる司令官)を選別する役割をもつそうです。自己に対して強く反応するT細胞や全く反応しないT細胞が除かれ、わずか5%のT細胞を送り出します。そのT細胞は働きの異なる3つのT細胞へ分化していくそうです。

 

縦隔(胸と胸の間)

PET-CTをとって、何かしらの軟部腫瘍が胸骨を取り囲むように発生しており、胸骨を一部とかしているということでした。

縦隔腫瘍としては、2000年の手術症例をまとめた報告によると、全体の約4割は胸腺腫が占めており最も多い腫瘍。次いでのう胞が15%、神経原性腫瘍が13%となっており、悪性度の高い胚細胞性腫瘍、胸腺がん、悪性リンパ腫がそれぞれ5~10%を占めていいるそうです。

縦隔腫瘍は一般に比較的まれな腫瘍であり、20~50歳代の方に多く加齢とともに減少するそうです。サイズが小さいと無症状のことが多く、また胸部エックス線画像では心臓や大血管に重なってわかりにくいため、CT検査を受けて偶然見つかることも多いとか。

「縦隔」、「胸腺」ともに聞きなれない言葉でした。

 

違和感を感じる正確な場所

今更ながら思うことは、2015年9月のシルバーウィーク実家に帰省した際、逆流性食道炎と言われて薬を飲んでいると聞いたときに、詳しく症状を聞いておけばよかったということです。

どの辺に違和感があるのか?本当にそれは“みぞおち”なのか。具体的にどの辺りに違和感を感じているのか示してもらうなど。

今回、たくさん検索して気づいたことですが、「みぞおちの違和感」という「みぞおち」は胸腺より下を指します。「みおぞおち 違和感」でヒットするのは逆流性食道炎や胃の病気です。
「胸と胸のちょうど間のあたり」と具体的に聞いていれば、「胸腺 違和感」などで検索して、「胸腺腫、胸腺がん」などがヒットし、「悪性リンパ種」なども検索結果に出てきます。PET検査を受けてみるように勧めることもできていたかもしれません。

 

お医者さんの専門外のことは分からない

「え~ それ本当に逆流性食道炎なの?ちゃんと検査してもらった方がいいよ。」

そんな言葉を父と母に投げかけたことだけは覚えているのですが、実際、自分の症状はどの病院で診てもらえるのかわからないことも少なくないですよね。

私は6年前、舌のできものをみて、「これは何科を受診すればいいの?」とネット検索しまくりました。この時も夜な夜な自分と似た症状がないか検索しまくり、舌にできたできものの画像をたくさん載せておられる耳鼻咽喉科を見つけました。

そして、受診予約をし、すぐに紹介状を書いていていただき大事に至りませんでした。

後で知ったことですが、その先生はがんセンターの頭頸部で外科医員としての勤務経験をお持ちだったのです。だから口内炎などと見過ごされて時すでに遅し、となりがちな舌癌を早期で治療することが出来たのでした。

 

ネット上にいくらでも情報がある時代だからできること

母は内科がだ整形外科だ、胃カメラだなんだっていろいろ診てもらっても分からす、最終的に7.6cm×9cmに腫瘍が成長するまで、PET検査を受けるという判断がされませんでした。

最後はタラレバの話になりますが、高齢の母たちには難しくとも、癌を経験している自分であれば、あふれる情報の中から有益な情報をピックアップできたのではと悔やまれます。

もし、身内に何かしらの違和感を抱えている方がいらしたら、そして、その違和感から薬などを飲み続けているけれど症状が変わらないという事実があるようでしたら、どこがどのような感覚なのかを具体的に聞いて、受診すべき科をアドバイスしてあげてほしいと思うのです。



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